小型送信管1626を使ったパワーアンプも完成してしまい、また暇になりました。
この次のテーマは冒頭の写真に載せました71Aという真空管を使ったステレオアンプです。
RCAのチューブマニュアルを見るとEp180V、バイアスー40Vで出力が0.79W出るという球のようです。
直熱の3極管でフィラメントは5V0.25Aでちょうどラジオ球であります12Aを一回り大きくしたような真空管ですね。
問題はこのフィラメントをどのように直流点火するかということです。
フィラメント用の専用トランスを買うとまた3000円位しますし、それに伴ってダイオードブリッジや大容量の平滑コンデンサも調達しなければなりません。
どうしようか考えていたところでひらめいたのが次の写真です。
100円ショップで200円で売っているUSBの充電器です。
出力は丁度5V1A取れるのでフィラメントの直流点火に使えそうです。
早速分解してみました。
おおっ!スイッチング電源用の小型のトランスが現れました。
この基板を取り出しまして裏側を見てみるとちゃんとした回路が組まれています。
こんなものが200円で買えるとは驚きです。
回路を多少追いかけてみるとトランスの2次側出力からのフィードバックは掛かっておらずおそらくトランスの1次側で定電圧化しているのだと思います。
スイッチング周波数はおそらく70kHz位でしょうから多少リップルが残っていても耳には聞こえないはずです。
早速実験です。
餌食となるのはヤフオクで新品15000円で購入した中国製6P1シングルアンプです。
こんなふうに6P1シングルアンプのシャーシーをひっくり返しまして右チャンネルの6P1を引っこ抜いて71Aの配線をいたします。
これが200円のフィラメント点火用スイッチング電源です。
スイッチング電源の2次側に71Aのフィラメントを繋いで点火してみると少し電圧がドロップして4.8Vになりましたがこのくらいは問題ないでしょう。
71Aのフィラメントは45に比べて細く、それがほんのり赤く点火してちょっと頼りなさげな印象です。
写真に写っている抵抗はカソードの自己バイアス抵抗であり2kΩです。
いよいよアンプ全体の電源を入れて+B電圧をかけてみました。
入力に正弦波を入れて出力電力を測るとなんと1W以上出るんです。
この時のプレート損失を計算したら4.5Wもプレートに入っていることが分かりあわてました。
71Aのプレート損失は3.6Wだそうなので1Wもオーバーして使ってしまったことになります。
これでは良くありませんので+B電圧のチョークトランスと直列に抵抗を入れて電圧を下げました。
プレート損失は3.4Wになりこの時の出力は0.77WとなりほぼRCAのチューブマニュアルの通りとなりました。
早速試聴をしてみました。
こんな感じでオーディオラックに入れまして入出力端子を繋ぎます。
電源を入れてスピーカーに耳をピッタリとつけて残留ハム音を聴いてみましたが「全くの無音」で素晴らしいS/Nです。
音楽を聴いてみましょう。
ソースにはマイルスデイビスのLPを用いましたが71Aはその頼りなさげなフィラメントからは想像できないような素晴らしい音を出してくれました。
これはアンプ完成が楽しみです。
早速にマルツオンラインでシャーシー等の部材を発注しましたよ(計3500円)。
次回は6P1のシングルアンプの解体やシャーシーレイアウトの状況を報告できるかと思います。