ナカミチ 680ZX 修理完了だぜ!

先日にヤフオクでナカミチのカセットデッキ680ZXを落札してしまいました。落札金額は35000円でした。ジャンク品としてはちょっと高めの落札金額ではありましたが欲しかったデッキなのでまあ満足です。

このデッキ、あっちこっちに不具合がありまして以下順に修理していった所を書き出してみたいと思います。

1.ピンチローラーのアームの固着:これはこの1980年頃のナカミチのお約束の症状ですね。

まずは分解します。正面の向かって左側のネジ2本をはずすとこんな風に分解できます。ヘッドを固定しているネジも2本緩めてこんな風にピンチローラーむき出しの状態にします。

左側のピンチローラーです。がっちりと固着しており、びくともしません。

無理やり引っ張ったら軸ごと抜けてしまいました。こりゃまた厄介な。。。

この軸をペンチを使って何とか抜きまして固着した油を綺麗に洗い流し、再び組み付けてかるーく動くようになりました。

2.キャプスタンベルト交換:手持ちの中国製の平ベルトの中から大体Φ70mm、幅5mm位のものをチョイスして取り付けました。後々この中国製が悪さしてワウフラの原因になろうとはこの時点では思いもしませんでした。この交換によりテープがとりあえず走行するようになりました。

3.ヘッドを上下させるカムを動かすベルトの交換:これも中国製のやつを取り付けました。ナカミチのサイレントメカのはずがちょっと大きな音がします。きつめのベルトに変えても音がするので何処か油切れしているのだと思います。この音に関してはあまり追究しませんでした。

4.録音ができない:これはお決まりのバイアス発振器が発振していないトラブルです。2個の4700pFのオレンジキャップが抵抗になっていました。このオレンジキャップは本当に良くリークしますね。欠陥コンデンサーですよこれは。。4700pFのセラミックコンデンサに交換することで無事に発振するようになり、録音が出来るようになりました。

5.蛍光表示管が全く点かない:はじめはこの不具合の原因が蛍光表示管そのものの不具合だと思っていました。なのでこれはもう「手におえないのでヤフオク行きか」と出品の手続きまでしたのですがふとひらめいて蛍光表示管のアノードをアースしたらセグメントが光るじゃないですか!これは回路の不具合だということが分かったので出品は取り消ししました。

で、回路を追っかけてまず見つかったのがCD4040という12bitのカウンターがあるんですがこいつの出力が全く出ていない問題です。CD4040を新品に交換して表示が点くようになりました。

しかし音を再生してもレベルメーターが振れません。これには悩みました。会社で1日中回路図とにらめっこした結果導き出した結論が4700pFの時定数回路のオレンジキャップがリークしているのではないかと。。。家に帰ってこのオレンジキャップを手持ちのセラミックコンデンサーに交換したら”ビンゴ!”メーターが振れるようになりました。

それからメーターが振れるのは振れるんですが、なんかおかしい。そう、音の大小に関わらずフルスケール付近まで振れているんです。更に回路を追っかけました。そして分かったのが3入力のNANDゲートでありますCD4023が壊れていたんです。なのでそっこーに交換したら正常に音声の大小に合わせてメーターが振れるようになりました。ふぅ~。

6.オートアジマスアライメント(AAA)の故障:680ZXの特徴でありますAAAですがこれがいつまでも止まらない不具合がありました。回路を調べるとオペアンプ4558の動作がおかしいことが分かりました。これを交換することでばっちりAAAが動作するようになりました。勿論、駆動系のグリスアップはちゃんと行いましたよ。

これは表示ドライバの写真です。

修理の内容は以上なのですが最後までワウフラが悪い問題で悩みました。PLL制御のモーターが悪いんじゃないかとも思いましたが結論は中国製の安物ベルトのせいでした。中国製のベルトの中からきつめのベルトを選んで装着したらワウフラが大幅に軽減しました。なのでここは千石電商で扱っている平ベルトΦ70mm、幅5mmを注文しました。

そして注文の後に発見しました。道具箱の中にΦ70mm、幅5mmの平ベルトがあるのを。。。以前に全く同じ平ベルトを千石電商で注文していたんですね。まったく馬鹿ですね。

とりあえず疲れましたのでこれから680ZXで音楽を聴きながら少し横になろうかと思います。

ナカミチ 482zを修理

ぼったくり修理業者から戻ってきましたナカミチの482zですがここは腰を据えて”きかこ”自身で修理することにしました。

こんなことならば最初から修理業者などを頼らずに自分で修理する方針にしていれば見積もり代金4000円、往復の送料2800円、の合計6800円無駄にしないで済んだものを。。。お金が無いのに無駄遣いしてしまいました。

自分で修理しようと決心できたのはネット上から482zのサービスマニュアルをGETできたからなのです。回路図があれば”きかこ”は無敵です。

さて、実際の修理内容ですが一番の問題点でありました録音ができないというトラブルに関して色々と調べてみるとバイアスの発振器が発振してないことが分かりました。

これじゃ録音できないわけだよな~。この発振器の出力はイレースヘッドと録音のバイアス回路両方に行っております。消去もできない理由が良く分かりました。

で、発振しない原因を詳細に調べてみるとなんと発振回路に使われているオレンジ色のフィルムコンデンサ4700pF2個のうち片方が短絡しておりました。発振しないわけです。左側が短絡していたフィルムコンデンサ、右側が代替えのセラミックコンデンサです。

後から分かったことですがこのオレンジ色のコンデンサーはオールドナカミチに多く使われていて「オレンジキャップ」と呼ばれ経年劣化で内部のマイグレーションの影響で短絡、もしくは数十Ωになってしまうのは有名な問題なのだそうです。

これをセラミックコンデンサに交換することでバッチリ発振しましたよ。録音もできるようになりました。

それから、送り側のキャプスタンとピンチローラーの接触圧が弱く再生が安定しないのでここの部分を思い切って分解清掃致しました。

メカ分解なのでちょっと心配でしたがヘッドを外せるところまでのアクセスは難しいものではありませんでした。

ここの写真を撮っておけばよかったのですが作業に夢中で撮り忘れました。

ピンチローラーを上下させるアームの支点がかなり固着しており分解に苦労しました。引っ張ってもなかなか抜けず思い切って力をいれたら支点のシャフトが台座から抜けてしまいました。ここはあわてずにシャフトをアームから抜いてアルコール洗浄した後にシャフトを台座に圧入しました。

この施策でピンチローラーとキャプスタンの圧着力が回復し安定なテープ走行が出来るようになったのです。

ナカミチのデッキの凄いところはピンチローラーと一体になっているテープガイドの調整がアームの支点のプラネジで出来ることです。ていうか、このテープガイド2か所(送り側と受け側)、消去ヘッド、録音ヘッド、再生ヘッドが自由に調整可能な構造になっています。

調整出来るということは組み付けが大変ということです。テープガイドの調整には本来は専用の治具を使って行うようです。”きかこ”は消去ヘッドの位置が合っているものと仮定してテープガイドの位置を調整しました。

テープガイドで並行かつ消去ヘッドに正しくテープが接触する位置に調整できたら次はヘッドです。これも今調整したテープの位置に合わせて調整しました。本来ならばこれらも治具を使って調整するみたいです。

これでメカ調整は大体終わりですので試聴してみました。何だか音が歪みっぽいです。この原因もオレンジキャップが原因かと目星を付けて基板上のオレンジキャップをテスターで順に調べていきました。そしたら不良が見つかる見つかる。音声関係で8個の不良コンデンサを見つけましたよ。

これらが交換したコンデンサーで0.033uFと0.01uFのオレンジキャップです。代替えのコンデンサーは手持ちの0.1uF、0.01uFセラミックコンデンサです。

このコンデンサーの交換作業は面白かったですね。一個交換するごとに試聴していったんですが交換する度にどんどん音がクリヤーになっていくんです。最後の一個を交換したときはこれそナカミチサウンドという音になりました。

というわけで修理が完了したのですが修理のしごたえがあり、それが結果になって現れるという楽しい作業でした。これに味をしめて680zxを落札しちゃいました。また修理を楽しめそうです。

ナカミチ482zのオーバーホール代金が10万円!!

写真はつい最近ヤフオクで落札したナカミチのカセットデッキ482zなんです。

この機種はアジマスコントロールも無いしバイアスのキャリブレーションもないので1980年当時は13万円とナカミチにしては安価な機種でした。

今回この機種の現状品を12000円で落札したので色々と弄ってみようかと思っていました。

ナカミチとしては廉価版とはいえ3ヘッド独立のヘッド構成は変わらないので音質は良いはずです。しかし色々とトラブルがありました。

まずはピンチローラーを上下させるアームの支点が油が固まったせいで固着しておりました。これを”きかこ”はエタノールを少しづつ注入して油を溶かして軽く動くようにしました。

次にヘッドを上下させるモーターのベルトが滑っていましたので中国製の新品に交換致しました。この処置でテープの再生は可能になりました。

しかし再生音にワウがあるようです。キャプスタンの駆動平ベルトを見ると見事に劣化していましたのでこれも中国製の安物平ベルトに交換致しました。これの効果は絶大でばっちり再生が上手くいくようになりました。

最後はイジェクトボタンが押されっぱなしでボタンでイジェクトできない不具合ですが原因はレリーズワイヤーを固定する樹脂部品の破損でした。これも簡易的に修理しましたのでバッチグーになりました。

録音のテストをしてみたらなんと録音ができないことが分かりました。回路図があればトラブルシューティングできますが無いのでお手上げです。

「こりゃだめだ、詳しい人に修理をお願いしよう」という結論になりましてヤフオクで10800円の基本料金で修理してくれるという方のオークションを落札しました。

それでデッキをF氏に送付したのですが見積もりの結果があきれるばかりです。その回答を以下にペーストしました。

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きかこ様

お疲れさまです。

482Zのお見積は以下のようになります。
38年ほど経過した大変古い機種のため様々な部分に不具合が発生しておりお見積もりがかなり高くなってしまいました。

ご依頼内容の確認。
・ピンチローラ軸固着対策。→ 了解いたしました。
・カムベルト、キャプスタンベルト交換。→ カムベルトは異なるサイズが取り付けられています、キャプスタンベルトは溶解寸前です。
・イジェクトワイヤーの固定。→ 金属を固定する接着での対策が必要です。
・録音不可。→ 確認いたしました。

ご依頼以外の不具合
・アイドラが経年劣化しています。
・ピンチローラが経年劣化しています。
・Rec VRが接触不良です。
・Monitor時R-CH側ノイズ発生。
・再生時Dolby CでR-CH側が歪む。→ Monitor時R-CH側ノイズ発生との関連は不明。
・L-CH側VRノブなし。
・Bias Tuneノブなし。

お見積は以下のようになります。
・基本料金(アジマス/あおり/高さ調整等、レベル関係調整等)。
→ ¥10.800
・カムベルト、キャプスタンベルト交換。
→ ¥6.000(¥3.000×2H+部品代)
・アイドラ交換
→ ¥6.000(¥3.000×2H+部品代)
・ピンチローラ軸固着対策(分解整備)。
→ ¥12.000(¥3.000×4H)
・ピンチローラ交換。
→ ¥12.000(¥3.000×4H+部品代)
・イジェクトワイヤーの固定対策。
→ ¥6.000(¥3.000×2H)
・Rec不可対策(回路解析、対策)。
→ ¥12.000(¥3.000×4H)
・Rec VR接触不良対策(分解整備)。
→ ¥12.000(¥3.000×4H)
・Monitor時R-CH側ノイズ対策(回路解析、対策)、再生時Dolby C R-CH側歪対策(回路解析、対策)。
→ ¥12.000(¥3.000×4H)
・テープパス調整。
→ ¥4.500(¥3.000×1.5H)
・f特調整。
→ ¥4.500(¥3.000×1.5H)
・お見積合計金額:¥97.800
新たな不具合が発見された場合はご連絡を差し上げ対策の有無について確認をさせていただきます。

よろしくお願いいたします。

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この見積もり結果をみて腹立たしい思いでいっぱいです。せいぜい修理代金なんて30000円程度かと思っていました。が、なんじゃこりゃーってな結果です。

速攻キャンセルしましたよ勿論。10万円も出せばナカミチのドラゴンが買えますよマジで。。。

品物にはそれに見合った修理というものが存在するんですよ。廉価版のナカミチにこんな見積もりを出して何を考えているんでしょうこの人。

しかもキャンセル料も4000円しっかり取られて往復の送料も出さなければなりません。

482zのサービスマニュアルはネットの落ちていて入手しているんです。これがあれば”きかこ”も絶対に修理できるはずです。

修理の様子はまたブログに書こうと思います。